「婚姻関係が破綻している場合に浮気した配偶者などへの慰謝料請求は出来ないのでしょうか?」弁護士に聞いた⑪

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「夫が勤務先の女子社員と不倫をしていました。夫に不倫相手と別れて夫婦関係を再構築したいと持ちかけましたが断わられました。夫にはまだ言っていませんが探偵に頼んで不倫の証拠や不倫相手のことなども掴んでいます。不倫相手に慰謝料請求をして夫と別れるようにお話をするつもりですが、それを夫が知り既に夫婦関係が破綻しているから慰謝料請求しても無駄だと言われてしまいました。
私は破綻しているとは全く考えておらず食事も毎日ではありませんが一緒に取り、別居などもしていません。ただ、体調不良が続き3年ほどセックスレスになってしまっていますが、夫にはきちんと説明しわかってもらっていたつもりです。
夫婦関係(婚姻関係)が破綻していると慰謝料請求はできないのでしょうか?また、何を基準に婚姻関係破綻となるのでしょうか?」

離婚問題の際にしばしば論点となることがある婚姻関係破綻ですが、破綻していると判断される基準や破綻後の慰謝料請求は可能なのでしょうか?

婚姻関係破綻

『婚姻関係の破綻』について弁護士に聞いてみました。

「仮に夫婦関係がすでに破綻していた状態では、不倫が夫婦関係を破綻させた原因にはなりませんので慰謝料請求は認められないでしょう。ちなみに『婚姻関係が深刻に破綻し婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがないといえる場合』というのが婚姻関係が破綻している状態です。この場合、夫が一方的に(おそらく性交渉がないために)婚姻関係が破綻していると言っているだけだと思われます。

性交渉が3年間無いからといって、お互いに離婚をするかどうかの話し合いをしている訳でもなく別居している訳でもないので婚姻関係が深刻に破綻し回復の見込みが無いとは言えないでしょう。また、夫婦で一緒に食事をとったりするなどの共同生活をしている状態であればなおさらです。

裁判で認められる婚姻関係破綻とは夫婦が将来離婚することを双方が合意するなどして、正式な離婚までの間は別居するといったような事実が必要になりますので、体調などにより性交渉に応じられない場合などは誰が見ても回復の見込みがないといえる状況では無い為に認められないでしょう。」

浮気や不倫の逃げ口上として婚姻関係破綻という言葉を使われる場合がありますが、婚姻関係が破綻しているという主張をして慰謝料請求を回避しようとする場合には夫婦関係が修復困難なほどに破綻しているかどうかを客観的に判断できる事実を証明する必要がありますので、そう簡単には認められるものではありません。

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