「探偵さんの調査で妻の浮気が確実なものとなったので離婚を決意しました。妻側が原因となる離婚だとした場合、男親でも親権者になれるのでしょうか?」
一般的に父親が親権者となるのは難しいというイメージがありますが実際にはどうなのか?そして父親が親権者になるためのポイントはどのようなことなのでしょうか?
ふむふむ…
まずは親権者をどのように決定するかですが、離婚は協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚の方法がありますが協議離婚とその他の離婚では親権者の決め方に違いがあります。
【協議離婚】
協議離婚とは当事者間の話し合いで双方が離婚に合意し、離婚届を役所に提出することで離婚する方法です。離婚届には親権者を記入する欄があり、離婚の際にどちらが親権者になるか決める必要があります。
協議離婚の場合、親権者を決定する際に取り決めがあるわけではなく当事者(両親)の話し合いで、どちらが子どもの親権者になるか決めことになります。
【協議離婚以外】
調停や裁判で離婚をする場合であっても、どちらが親権者になるか当事者間ですでに結論が出ている場合には、裁判所は当事者の意思に沿って親権者を決定します。
しかしながら当事者のお互いが親権を求めて譲らない場合、裁判所は、「どちら側が養育環境が整っているか(どちらの親元で暮らすのが子どもの成長にとってより良いのか?)」という基準が前提で様々な事情を考慮し親権者を決定します。
なるほど…
あくまでも子どもにとってどちらが親権者となるかを前提として決められるということですね。
そうですね、親権者を決める場合は、個別の事情を考慮して決められていて、これという基準は無いのですが裁判所は主に次のような事情で判断されます。
【父母の事情】
・父母の属性と資質
年齢、職業、収入、学歴、職歴、犯罪歴、婚姻歴、健康状態、性格、生活態度などになりますが性格や生活態度は調停での話し合いや双方の主張などで把握していきます。
・監護の体制や意欲
養育の実績、収入、借金、居住環境、生活・教育環境、子どもと接する時間、監護を援助する親族の存在、兄弟が一緒に暮らせるかなどです。
【子どもの事情】
子どもの年齢、性別、意欲、身心の発育状況、兄弟姉妹の関係、環境変化による影響の度合い、親や親族との情緒的結びつきなどです。
【継続性の原則】
今まで実際に子を監護してきた者を優先させるということです。この原則が一番重要視されていると思われます。
【子どもの意思】
子どもの意思確認(子どもが15歳以上なら陳述を聴かなければならないと家事事件手続法第169条第2項で定められています)。陳述を聴かなくてはならないのは15歳以上ですが、概ね10歳以上で子どもの意思が明らかな場合には尊重される傾向があります。
【兄弟姉妹不分離の原則】
兄弟姉妹がいる場合には離れ離れにならないように考慮されます。
稀にどちらか一方の親が、子どもを連れ去ったり面会交流の際に子ども帰さないなどの行為が見受けられますが、そのような行為をすると親権者としての適性に欠けると判断されます。
そして父親が親権者になるのが難しいと言われる理由は【継続性の原則】にあります。
一般的な家庭の場合、父親がフルタイムで働いていることがほとんどで子どもの面倒を日常的にみるということが難しく、共働きの場合でも、母親がパートタイム勤務などで託児施設への送り迎えや父親が帰宅するまでは子どもの面倒を見るなど、母親が主体の子育てになることが多いのではないでしょうか。
そのため、継続的かつ実際に養育にしていたのはどちらかという基準で考えると、母親ということになり母親の方が親権者にふさわしいという判断をされやすくなります。
なるほど。
これらの事情が考慮されて親権者を決めるわけですが、母親が親権者となることが多いのも納得出来ます。
次回は父親が親権者になれるケースを具体的にお聞きしたいと思います。
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探偵歴21年の探偵事務所所長。メンタルケアカウンセラー・メンタルケア心理士・行動心理士。横浜・千葉・東京で気軽に相談出来る探偵事務所を展開中。